平成16年5月28日
東京管区長兼松風社代表 綿 貫 浩


 私は毎年尖閣諸島魚釣島上陸メンバーの一人として灯台の保守点検に携わる中で常々思うことがある。
 それは尖閣諸島が日本固有の領土であるにも関わらず、なぜわが国政府は中国からの領海侵犯を阻止できないのか、なぜ中国から内政干渉されると外務省は腰が引けてしまうのかということだ。
 これではいつまで経ってもわが国の領土問題は解決しない。よって私は私なりの外務省に対する意見を述べさせていただく。
 
 今年は日中平和友好条約が締結されてから26年、われわれ日本青年社が尖閣諸島魚釣島に建設した灯台も今年は26年を迎えた。

 この26年という歳月は、正に日中間で領有問題が吹き荒れる尖閣諸島問題の歴史ではないだろうか。

 われわれ日本青年社が魚釣島に灯台を建設した起因は昭和53年に中国の武装漁船団が日本領海である東シナ海に大挙して押しかけたことに始まるのだか、今日に至っても東シナ海の尖閣諸島海域は紛争地域と位置づけられたまま、中国の領海侵犯は際限なく続いている。否、寧ろ最近は激しくなっていると言ったほうが正確であろう。

 ところで、去る3月24日早朝、中国人活動家7人が手こぎポートで尖閣諸島海域に潜入して魚釣島に上陸したことは記憶に新しいところであるが、沖縄県警は上陸当日にこの7人を不法入国の疑いで逮捕し、粛々と送検の準備を進めていたが、日中関係を憂慮した小泉首相の意向により、政府は逮捕からわずか三日目という短い期間で不法入国者7人を強制送還するという誠になさけない結果となったことは大多数の国民が怒りの声を禁じえなかったことと思う。

  われわれ日本青年社は中国人活動家が魚釣島に不法上陸した時点で対策本部を設置し、沖縄県石垣島と東京において断固たる抗議行動を展開したことは青年戦士(4月25日号・5月25日号)において掲載するとともに当ホームページ(尖閣諸島は日本固有の領土!!)で公開したことから読者の皆様にはご存知のことと思うが、われわれとて魚釣島上陸を阻止される中で、尖閣諸島への不法上陸者逮捕のために初めて警察が上陸したことは、わが国の治安が尖閣諸島に及んでいる証であり、政府もいよいよ領土主権を明確にするための第一歩に踏み出したとの思いもあったのである。

  しかるに、中国がわが国に対する主権侵害は一向にとどまることなく、尖閣諸島は中国領土と詭弁を弄して相変わらずの領海侵犯を繰り返すばかりでなく、今度は太平洋にある沖の鳥島海域にまで土足で踏み込んでくる始末である。

  このよう無法な中国の不当な領海侵犯事件に関してはテレビや新聞などで報道していることから本紙では割愛するが、果たして政府外務省はわが日本が主権国家であることを認識しているのであろうか。

  外交とは如何なるものを理解しているのであろうか。そもそも尖閣諸島の領有権は明治28年に閣議決定によって編入されたものであり国際法に照らし合わせても日本固有の領土なのだ。

 ましては昭和47の沖縄県本土復帰の折にも尖閣諸島は日本領土として沖縄県とともに米国の統治下から本土に復帰している。

 正確にいえば、中国も台湾も昭和45年までは尖閣諸島を自国の領土と主張したことはなく、古来より日本の領土であることを認めていたのだ。

  ところが、昭和43年から44年にかけて国連の海洋調査団が行なった東シナ海の海底調査によって海底に有望な油田が埋蔵されていることが発表されて以来、台湾と中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めた。尤もこの件に関しては米国の存在があったことも事実であるが、中国は昭和53年の中平和友好条約締結の年、謂わば、同年8月に行なうこととなっていた調印の数ヶ月前に武装漁船百数十隻が東シナ海に押し寄せて尖閣諸島を取り囲むという軍事威嚇をかけてきたのであるが、このような中国に不当な行為に対して、何の対処もできない日本政府に大きな危慎と怒りを禁じえなかった。わが国の民族派活動家が決死の覚悟で国家主権を守るために尖閣諸島に上陸した歴史がある。

 われわれ日本青年社も同年、熱き心をもった尖閣諸島上陸決死隊がこの時に建設したのが現在尖閣諸島海域を航行する船舶の安全を守っている第1号灯台なのである。

 また、中国は昭和54年にト小平副主席が(当時)が日本を訪れた折に、巧妙に打ち出した領土問題「棚上論」が結果として尖閣諸島の領有権があたかも中国にあるかのようになってしまったのであり、尖閣諸島が日本領土であることは歴史上から見ても国際法に照らし合わせても何らとやかく言われるものではない筈だ。


※参考の為、現在わが国が抱えている3件の領土問題(尖閣諸島・北方領土・竹島)に対しての日本政府見解を記すが、なぜわが国政府は中国の主権侵害に対して毅然として外交姿勢がとれないのか。

日本青年社の領土問題 (左メニュー上)】


【日本政府の見解】

尖閣諸島の領有権についての基本見解

北方領土問題の概要

竹島問題


それだけではない。

領土問題に関しては日・口間に横たわる北方領土問題、日韓間に横たわる竹島問題、北朝鮮による日本人拉致事件等々、正に国威衰退の一途を辿るわが国において主権国家・日本の外務省は毅然とした外交交渉に取り組むことを心から願わずにはいられないのは私だけであろうか。