外務大臣への要望書


更新日:平成22年09月18日

 
要 望 書

外務大臣
前 原 誠 司 殿

平成22年9月18日
日本青年社


  この度の改造内閣において外務大臣に就任された貴殿が、就任挨拶で中華人民共和国の軍事拡大と日本への領海侵犯はもとより、東沙・南沙・西沙に及ぶ東アジア諸国の脅威となっている現実を直視し、対中外交に強硬姿勢を示すと表明したことは正に正論であり、関係諸国も賛意を示すことと思うが、我々は貴殿がその信念を貫くことを大いに期待するところである。

 扨、平成22年9月7日、日本領海である尖閣諸島周辺海域に領海侵犯して違法操業をしていた中国のトロール漁船を確認した海上保安庁の巡視船が違法漁船を追尾しながら停止命令を出したにも関わらず、漁船は逃亡を続けた挙句、故意に巡視船に衝突させた海洋事件は、明らかに我が国に対する主権侵害の何ものでもなく断じて許すことはできない。又、海上保安庁は然るべき任務を全うし、国際常識に則った毅然とした態度で違法漁船を拿捕し、逮捕した中国漁船船長を含む乗組員15名と共に、石垣市の海上保安庁第11管区まで連行するに至った。然るに我が国政府は、事件発生当日、まるで中国政府の不条理な抗議を恐れるが如くその対応に苦慮し、翌日仙谷官房長官が、まことしやかに中国漁船船長に国内法を適用して公務執行妨害で逮捕した、と鼻高々に発表したが、良識ある国民は、このような官房長官談話を聞いてあきれ返ったのが本音であろう。
 
 又、中国漁船の乗組員が海上保安庁第11管区において取調べを受けている最中、中国政府は丹羽宇一郎駐中国大使に対して5回にわたる抗議を行ない、その抗議は夜中の0時というのもあったという。更には、海上保安庁第11管区で取調べを受けていた14名の乗組員は、9月13日に釈放され中国政府のチャーター機で帰国させたばかりでなく、本来ならば事件解決まで置いておくべき証拠品の漁船までをも中国政府が派遣した運行要員によって中国に向けて出港させたのである。仄聞に依れば事件担当の監督官庁が逮捕した中国人犯罪者を早く帰せと圧力をかけたのは外務省のようだが、それが事実なら正に中国におもねる外務省らしく我々は至極当然だと言わざるを得ない。

 何故ならば、我々が昭和53年に尖閣諸島魚釣島に灯台を建設して以来、灯台を国家委譲した平成17年までの長きにわたる艱難辛苦を乗り越えて2名の犠牲者を出しながら、我が国の領土主権を守り続けた活動も、その間に幾度となく海上保安庁第11管区に提出した灯台の許認可申請に対して、中国の恫喝を恐れる外務省が海上保安庁に圧力をかけ、時期尚早という曖昧な理由で許認可を認めなかった事実があるからだ。この事実については、元運輸大臣である石原慎太郎東京都知事が各地各所での講演やテレビで公言しているので貴殿もご存知であろう。又、中国では天津市の日本人学校をはじめとする日本の施設数十ヶ所に卑劣なイヤガラセが続いているが、外務大臣たる貴殿はこの問題を如何様に認識し、如何様に対処するおつもりなのかについて国民に堂々と説明するのが当然と言うものだろう。本来ならば国家国民の安全を守るために如何なる国との交渉も毅然とした態度で臨み、常に国益を追求しなければならない外務省が、他国に国を売るような行為をすることは誠にもって言語道断である。最後とするが貴殿は国民に期待される強い信念を持った外務大臣として、これからの外務省は、常に日本国に軸足を置き、嘗て世界から羨ましがられた日本人の誇りと尊厳の下に的確な対中外交に取り組むよう厳しく指導するとともに貴殿ご自信も毅然とした態度で外交交渉に取り組まれることをここに強く要望する。