改憲の為の段階的作業を!
改憲への道を拓こう

 
平成13年10月5日
総本部憲法調査研究委員会
委員長:横山正幸

 米同時テロ事件を契機として、わが国では有事法制等議論がなされている。だがしかし、現行憲法には国家の緊急事態に対して、何も定めていない。
 いわゆる護憲派(本当の意味では単に憲法改正反論者)は、「今、憲法が危ない。だから現実を憲法にもどせ。憲法を一言一句も変えてはならない」と言う。だが当委員会は「今、憲法が危ない。憲法はあれどなきがごときと言う状況になる危険がある。だからこそ憲法改正をせよ」と言いたい。
 言うまでもなく、憲法は国の根本法である。憲法が変われば法は変わり、法が変われば政治も変わり、政治が変われば国民生活は変わる。つまり国民生活は憲法そのものの問題である。そして憲法もそうであるが、法というものは、それ自身存在目的を持つものでなく、常に人間社会生活に奉仕するために存在している。ということは、奉仕する社会の事情が変われば、変わらなければならない性質のものである。現行憲法においても第96条に改正の条項がある。

【第96条】
 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別な国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 憲法改正について前項の承認を経たときには、天皇は、国民の名で、この憲法を一体と成すものとして、直ちにこれを公布する。


 この事を護憲派と称する者達は、どう説明するだろうか。
 ところで、今回は過去、日本政府が行った「超法規的な行政措置」について文を進めたいと思う。



 「日本赤軍によるクアラルンプールでの人質事件」

 昭和50年8月4日、日本赤軍により、マレーシアのクアラルンプールにある米国大使館とスェーデン大使館が襲撃され、約50明の人質をとってたてこもり、日本にいる7名の被告(受刑者1名を含む)の釈放を要求した。
 外務省に対策本部が出来たのが同日の午後1時50分、渡米中の三木首相から指示がでたのが午後4時15分、そして、犯人の要求を全く受け入れると発表したのが同日の午後9時すぎであった。事件発生後、わずかの時間で、日本政府は法を犯し、何十人もの命を奪った者達を、5〜6人の犯人の要求で釈放した。そして政府は自らの行為を「超法規的な行政措置」と説明。だが、政府にこのような「超法規的な行政措置」を許す法的根拠は一体どこにあるのか。

【第98条】
1、この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力に有しない。


現行憲法は、憲法を超越した行為を認めていない。

【第99条】
天皇は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ

 憲法を遵守しなければならない立場の政府が、憲法を破壊し、法を破壊するという行為をしたのである。現行憲法に国家の緊急事態に対し、規定がないからといってただちに超法規的措置を行うことが許されていないことは、この条項をみてもあきらかである。


 なら、どうすればよいか。

 国家の緊急事態に対する条項を、憲法に是非加えなければならない。そして、段階的に言えば、まず、未だ制定されていない改憲のための国民投票法を早期に制定することへの、国民大衆からの政府、国会への請願、陳情である。
 そして次の段階として、第96条の改正条項のあまりにもきびしい条件を緩和する改憲をなし、各条項を検討、体系化していくことである。

 最後に法というものは、一時的感情に流されると言う人間の特性を防止する為に、長い年月をかけて、人間の社会的行動の規範を定めたものであることも、忘れてはならないだろう。

●請願について

【第16条】
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令、又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。