米国は京都議定書からの離脱を撤回せよ!

平成13年4月20日

温暖化防止に打撃各先進国一斉反発

 米国は三月二十八日地球温暖化防止のための京都議定書(別項)について不支持を表明した。各国に二酸化炭素(CO2)削減義務を律する京都議定書は2002年に発効するため各国ギリギリの努力をしているが、世界最大の排出国のアメリカの離脱で、温暖化防止は大きく後退することになる。このことは同時に私たち日本青年社が主張する、自然と共生 環境と調和のスローガンと著しく対立することから私たちは米国に再考を強く要求するものである。

 日本青年社は自然と共生 環境と調和の立場から強くアメリカに抗議する。現在の地球はCO2の排出による温室効果を主なる原因とする地球温暖化により海面が上昇している。日本に及ばずこの影響は、バングラディシュ、オランダに深刻な事態を招くことが科学上立証されている。同時に気候etcも変動し、生態系に及ぼすことは図り知れない。

 にもかかわらず、地球温暖化のためにギリギリ折衝によって、「京都議定書」が、CO2最大の排出国であるアメリカが今回、「京都議定書を実行する事に関心はない」と言明、「京都議定書は死んだ」としている。このことは世界の超大国アメリカがその「国益」を最優先し、グローバルな、地球丸の今後の在り方を放棄したエセ「国家主義」「民族主義」だ、と私たちはいわざるを得ないし、アメリカに強く抗議する。

 この米国の結論に対し、欧州は強く反発し、日本もいち早く再考を突きつけた。


日本の反応と態度

 すでに日本は森首相が「環境問題では我々が世界をリードしていかないといけない」と四月六日、日中韓三カ国の環境担当者との会談で語った。日本国内では、米政府に抗議する動きが与野党を超えて広がっている。「地球環境国際議員」所属の超党派の国会議員約三十人は四月三日、「米国は率先して温暖化防止に取り組むべきだ」という書簡をブッシュ大統領宛に送ることを決めた。
 

EU「米抜き」探る

 EU(欧州連合)では、パルストレム欧州委員(環境問題担当)は四月五日、「米国抜きでも進む姿勢を示し、米国にイニシアを取らせないことが重要だ」と発言した。と同時にEU内では「ブッシュ政権では環境は小さな問題だ。共和党主導の議会には温暖化問題を中国との取引材料に使うのではないかとの警戒感」も強いといわれ、「米国を待ってまったく進めないより、米国抜きでも進める方が良い」との主張が抬頭している。


日本青年社は主張する

 日本青年社は、本年のサブスローガンを「自然と共生 環境と調和」を掲げている。私たちの態度は、先に記したようにアメリカに強く抗議する。「アメリカは国益のためになにをやっても良いのか」と。世界の警察を自負し、自国の利益を損なうときには「軍事行動」で対処し、貿易(輸出入)でも、自国が不利益をこうむると制裁を下し、環境問題でも容易に裏切るのだ。これでは、EUが米国抜きのNATO軍を創設しようとしていることも納得できるものだ。ひいては「日米安保同盟」に暗い影を投げかけるのではないか、と私たちは危惧する。

 そのうえ、なんといっても世界の超大国である米国と中国が、世界史的課題で「取引き」することを最も警戒しなくてはなるまい。

 つまり、米国と中国が対立・依存しアジア世界のみならず、世界支配をたくらんでいるのではないか、こうした構造に私たちは「反対する」。

 いい換えれば、今後の日本は、何事も米国と中国の顔色をうかがって行動・指針をださなくてはいけないというのでは民族主義の立場からも、世界の各国家、民族との友愛と忖度の立場からも反対する。

 こうした立場の一つとしても米国の京都議定書からの離脱を撤回するようアメリカに強く要求する。

 二酸化炭素(CO2)による温室効果による地球温暖化はすでに科学的に立証されている。だから京都議定書が各国に課された任務であったことを私たちは忘れてはならない。

 確かにCO2の減少には困難な課題がつきまとっていることも事実だ。だからといって新世紀の地球丸を守ることの方が優先される課題であることを各国、諸民族のリーダーが自覚する緊急な課題だ、といわなくはなるまい。

 執拗だが、未来に禍根を残さないため、アメリカに「京都議定書」を実行することを再要求する。