平成17年5月23日

 アジア情勢を語る時、私たち日本人は、中国、韓国の反日運動を見て、その反日運動が中国、韓国にとっては国内の運動であることを見落としがちである。

 だが中国の反日運動は、中国共産党=国家主導でなされており、以下に述べるようにアジア情勢の危機を招くことから、私たち日本青年社は看過できないのである。

 今私たちがアジア世界と立ち向かう場合まずは東南アジアを射程に入れて友好を深めていくことが大切な情勢にある。たとえば二十数年前の中越紛争を見ても中国がいかにアジア世界で唯一の国は中国でありほかは中国の属国であるという考え方が中国では支配的である。こうした視点から見れば今日の気の狂ったような反日運動も理解できるのである。つまり経済成長を遂げた中国にとって日本は邪魔であり日本潰しに走るのもこうした理由からである。

 つまり中華思想は現在も脈々と生き続けているのでありこの中華思想を払拭しない限りアジア世界の友好はありえないと考えておくべきなのだ。朝日新聞ですら現在の反日運動を異常とみなしていることからしてもこのことは了解できるはずである。

 しかし中・韓の反日運動は実は内部に深刻な矛盾を抱えていることをみておかなければならない。具体的に中国では資本主義でありながら中国共産党独裁という極端な矛盾をもったままでありこれを欧米や日本などの体制へ移行することをなんら考えていない。その暴発が一九八九年の北京市の天安門事件であり現在の反日運動がいつ反政府運動に転化するかは実は中国共産党自身が恐怖をもっているのである。加えて貧富の格差が隠しようもなくそれが輪をかけてくることもありえないことでもない。

 中国のこうした中華思想と現在の矛盾を解消しないで中国がこれ以上発展するとみるのは誤りであると私たちは主張する。
 私たちはまずベトナムに注目する必要がある。ベトナムは総体として勤勉であり先に述べたように中越紛争で中国の野望を熟知しておりこのベトナムが発展すれば中国は反日だけに力を注ぐのではなくベトナムにも当然目を向けなければならなくなる。このベトナムと日本との関係は現在極めて良好でありこの関係を維持・発展させアジアは中国のものであるという認識を変えるためにもこのことは必要不可欠なことである。ベトナムは、一九八六年末にドイモイ政策を採択し、一九九二年以降、高い経済成長(年率7%〜9%)を達成してきた。一九九八年、一九九九年に、成長率は一時的に落ち込んだが、二〇〇〇年以降は回復し、6〜7%台を基調とする成長率となっている。こうしたことからも対ベトナム政策はアジア諸国の中でもより重視しなくてはならない課題であることは一目瞭然である。

 加えてタイ王国も高い経済成長を遂げておりベトナム同様重視しなくてはならないことは当然である。同時にマレーシアも高い経済成長率を保っておりこのことから日本は東南アジア諸国との関係をより深めることが大切なことになっている。

 とかく日本は中国、韓国に関心を持ちがちだが東南アジアの発展により力を入れることが極めて重要なことになる。

 当然東南アジアの発展はインド、パキスタンを含め中国のアジア外交の転換を余儀なくさせざるをえないことになり、中華思想にふんぞり返っている現状でないことも明らかなことなのだ。

 このことを日本人はあまりにも知らなすぎる。中国、韓国にいちいち怯えていてはなんの前進もないことが東南アジア諸国の発展が私たちに見せ付けているのである。

 このことを肝に銘じて対アジア政策を日本政府が大胆に見直すことを私たちは心から主張する。

 私たち日本青年社の民族派運動は中国や韓国の民族排外主義とは一線を画する運動である。つまり諸民族の忖度・友好を重視したものだ。こうした位相からして中国や韓国と同じ次元で物事を判断・処理するものではない。だからこそ私たちはアジア共同体をいかなる困難があっても展望するものなのだ。

 戦後六〇年の日本をみても中国や韓国とは違って戦争に関わったことは一切ない。このことからみても一民族の特殊利害を追求するものではなく総和としてのアジアという視点から諸民族や諸民族国家との友好を第一と考えている。こうした視点から現在のアジア情勢を見なくてはなるまい。この視点から見ても現在の中国や韓国の反日運動は異常というほかない。

 同時に東南アジアの政策の転換が喫緊の課題である。