平成14年05月10日
中国は、5月8日遼寧省瀋陽の日本領事館に北朝鮮住民5人が亡命のため入ったところ、中国官憲は「日本領土」である日本領事館に侵入し5人を拘束、中国政府に引き渡した。
元来、世界の各国の大使館・領事館はウィーン条約の下「治外法権」となっていて、例えば日本の中国大使館・領事館は中国の「領土」となっている。にも拘らず、中国政府はこのウィーン条約を無視し、日本「侵略」の暴挙をいとも容易にやってのけたのだ。
私たち日本青年社はこの、中国の行為を弾劾し、日本政府に対しては標題の一文を断固と突きつけ、実りある成果を挙げることに全力を注ぐことを要求する。
省みれば、ソ連圏崩壊後の中国の内外の横暴は極まることを知らない。天安門広場の弾圧はその象徴だが、チベット・ウイグル地区、インドとの対立、日本外交に対する干渉など例を挙げれば枚挙のいとまがないほどである。
米国と中国で世界支配を担っているとしたらとんでもない大間違いだ。世界の諸民族、諸国家は長い歴史の上に築かれているのであり、忖度の精神を失っては自国の安定も実は危ない、と言わざるを得ない。それは米国と同様、中国は多民族国家であり、米国には内部紛争はないが、中国にはウイグル地区をはじめ内部に紛争を抱え、ダライ・ラマは長年の亡命生活を余儀なくされている。このことから、中国の長期安定は危険視されている。
こうした内情の中、最も中国に軟弱外交を行っている日本を狙い打ちし、北朝鮮に「恩」を売ることを考えたに違いない。
一方、狙い打ちされた日本外務省も猛省すべきだ。今回は韓国のNGOと日本の共同通信社が一部始終をカメラに収め内外に発信したから、中国官憲の「領土侵害」と「外国領事館員」の姿が世界に発信された。これでは外務省も「中国に抗議」せざるを得なくなったが、勘ぐれば、このような報道がなされなければ「中国大使館」は何事も起きなかったと日本政府に報告するつもりだったのではないか。
北朝鮮住民5人が、日本領事館に入り、必死に中国官憲と抵抗している姿を見て、「領事館職員」は淡々と現場に歩いてきて、「中国官憲」に「領土侵害」を抗議することもなく、帽子を拾ってあげている姿は、「これは何だ」と言わざるを得ない。加えて、ビサ発給場所の建物に入った二人を保護するどころか、中国官憲に売った事実は、世界から笑いもの扱いされる恥ずかしい姿である。
私たちは「中国瀋陽領事館」だけが相手国に媚びを売っているだけだ、とあのシーンからは考えることはできない。これは外務省総(全)体の体質であるに違いないことを想像させる。あのシーンは私たちが一貫して主張してきた「平和ボケ」を超えて「ボケ」そのものだ。こんな外務省を持った国民は不幸の一語につきる。日本青年社の建設した尖閣諸島の灯台を運輸省が認めても外務省が認めなかったのはこの事実から良く感得できる。
だからと言って外務省に対して批判ばかりしているときではない。外務省改革を一挙に断行することが正しい姿である事を白日の下に晒された。小泉総理ものん気な「国会答弁」をするのではなく、石原都知事が10年以上前に主張した「NO!をいえる日本」に外交路線を変え、外務省改革に早急に取り組むことが大切だ。
再度書くが、あのテレビの「シーン」はいったい何なのだ!この姿に危機感を持たない国会議員、官僚を私たちは100%不要だ、と主張する。
そして
一、中国の大国主義=領土侵犯に断固抗議せよ!
一、中国の侵略・領土拡張批判を全世界にアピールせよ!
一、外務省の即刻全面的改革に着手せよ! と。