平成14年04月02日
国際局次長:大越義夫


  アラブ人のパレスチナ国家は戦後体制を決定付けたヤルタ協定により、パレスチナ国家はアラブ人の手により建国されるはずだったが、聖地(三大宗教)エルサレムがパレスチナガサ地区にある事からイスラエルの侵略に会い事実上パレスチナ国家は地図から消えることとなった。

  この五回にわたる中東戦争の結果、1993年PLOとイスラエルがパレスチナ国家を承認することとなった。ただし、ガザ地区ユダヤ人・アラブ人による(暫定自治区)となったが、事実上はイスラエルの支配下の下に置かれているのが現実だ。

  つまり、アラブ人の手によるパレスチナ国家がアラブ諸国の根強い要求であるにもかかわらず、イスラエルは、(暫定自治区)前記の通り支配するのみならず、パレスチナ全土、隣接するレバノン、ヨルダン、シリアにも軍事攻撃を繰り返し、(暫定自治区)に住むPLO議長を監禁する暴挙に至っているのが現状だ。


(1)
  アラブ諸国、とりわけパレスチナ暫定自治区(ガザ地区)は第二次大戦後間もなくイスラエルの占領がつづいている、米国の大統領がクリントン(民主党)からブッシュ(共和党)に変わったいま、レバノンはイスラエルの攻撃に晒されている。イスラエルの一方的な軍事攻撃の前に、イスラエル・ガザ地区の住民はイスラエルの圧倒的軍事力の前に「自爆」テロに応戦することを余儀なくされている。

 クリントン前大統領が和平交渉の第一人者として交渉をつづけてきたPLO(パレスチナ解放機構)の議長であるアラファト氏は、現在イスラエルによって完全に監禁され、加えて監禁下のアラファト氏宅(周囲)に対し攻撃を繰り返し、死者を出すという横暴ぶりである。
 こうした事態に対し、米国のブッシュ大統領は〈仲介〉どころかイスラエルを支持し、アラブ諸国の猛反発を受けている。

(2)
 
省みれば、第二次大戦中、ユダヤ人はドイツ・ヒットラーのホロコーストによって600万人が虐殺された、この事実から戦後体制を決定したヤルタ協定により、2千年前のヘブライ(ユダヤ人国家)の再興のため、ほぼ同地域にイスラエルというユダヤ国家を築き上げた。アラブ諸国の盟主だったエジプトなどは猛反対したが、大国に無視され同地にユダヤ人国家のイスラエルが建国されたのだ。

 だが、イスラエルはイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の聖地エルサレムがあることから、ユダヤ教・イスラエル国家は絶えずレバノンを攻撃し、ガザ地区の占領(完全武装化)支配をつづけている、このため、PLO等が結成され、アメリカ同時多発テロを起こしたとされるイスラム原理主義の下、過激派が誕生したことは歴史が証明していることである。


(3)
 
私たち日本青年社は昨年、米国で起きた同時多発テロに対し、いち早く「異民族・異宗教に対し忖度の精神を」「テロには撲減と制裁を」「戦争には平和を」と訴えた。この精神からみて、私たちはこの間のイスラエルの戦争とも呼ぶべきパレスチナに対する徹底した攻撃と米国の暗黙の了解を「良し」とするものではない。

 また、四大宗教(キリスト教・イスラム教・ユダヤ教・仏教)を見ても、どの宗教も人を惹きつけ、心の安らぎを得るから長い歴史的存在の中、生きつづけている。どの宗教を選ぶかは「日本国憲法」に明記されているように「信仰の自由」なのだ。この自由を武力で破壊しようとしても土台無理、不条理だといわざるを得ない。日本には多くのイラン人がいるが、彼ら圧倒的多数は敬虔、真面目に日本で働いている。同時に雇用している日本人等は真面目な彼らに対し〈信仰の自由〉を許容している。つまり日本にはイスラム教弾圧の心が殆どない。このため米国と異なり、長期にわたって日本・イラン関係は友好をつづけている。


(4)
  4月2日、日本女性がパレスチナ暫定自治区(ガザ地区)での発抱で負傷した、直ちに日本政府は、〈中東情勢〉の緊迫化に対し、和平交渉を積極的に対処するよう米国に要請した。この要請は私たちから見て「遅すぎた要請」だと思う。

 私たちは訴える「アラファト議長の解放」とイスラエルの軍事攻撃を即時停止することを。そのために米国が積極的姿勢を採ることを。

 私たちはあえて今、宣明する。世界は多数の諸国家、民族、宗教で成立しているのであり、「米国政府だけが正義」だという態度には心から弾劾する。

 明らかなことだが、米国が「戦争」すれば、米国の軍事景気は一時には転ずるだろう。そんな景気は現在の資本主義の経済的危機を克服できるほどでないことは世界的に常識だ。


(5)
  私たちは再度訴える「異民族・異宗教に、忖度の精神を」「テロには撲減と制裁を」「戦争には平和を」と。

 加えて、イスラム教総体を敵視する米国を始め、中国、ロシアの態度を糾すことを。
 私たちは声高に米国に警鐘する。「日本は米国の属国ではない」「米国は国連をつくった原点に帰れ」と。

 大国は好戦国に終止符を打ち、平和的精神な国になることが21世紀初頭の任務である、世界諸国は大国の横暴に強く異議を申し立てるべきであり、日本はその先頭に立つ時が来ている時代であることを日本青年社は日本国民・全世界に強くアピールする。

〈了)