「倫理・道徳・品格の向上」の実践に向けて(2)
戦後日本の歪みを検証、惨憺たる教育荒廃を問う
教育刷新が日本を変える
【大久保】イジメ問題の原因はどこにあるんですか、私は子供の家庭環境にあると思ってるんですが。
【小池】その通りです。イジメ問題は学校ではありません。日教組の先生が教育が悪いからイジメがでたんでもありません。イジメと学級崩壊の原因は九十何%は親の責任です。親が子供を育てきれない、学級崩壊と言うのは子供が机に座っていることができずにウロチョロするんです。ウロチョロ歩くだけならいいんだけどついでに他の子を引っ叩いたり蹴飛ばしたりするんですが先生がそこに行くと今度は向こうで始まる、とまた他の場所で始まるんです。先生は授業ができないから教頭や校長に頼みに行くんです。すると校長が来て、歩いたらいけないよ、座らなきゃいけないよと注意するんですね、それを見た他の子供はその子供が校長に可愛がられていると思うわけです。そうすると今までおとなしく座っていた子供達は校長にかまって欲しいから、同じことやるんです。NHKの放送で取材記者が校長先生に、さっきの学級崩壊はすごかったですね、学級崩壊の原因は何ですか、と聞くんです。すると校長が教師の指導不足ですって言うんですが、これは教師の指導不足じゃないんです。そもそも座っていられないというのが学級崩壊ですから。
二年前からADHDというのが日本の新聞に載りました。注意力欠陥、多動性障害、注意力欠陥と言うのは先生のいう事を聞けないと言うことです。多動性障害というのは動き回る病気です。障害ですから先生の言うことが聞けない、これが学級崩壊の原因なんです。(ADHDとは)
もうひとつは、LDと言うんですがこれは授業についていけない落ちこぼれです。落ちこぼれも学級崩壊も知能のレベルには何の障害もない、機能は正常なんです(LDとは)。機能は正常なんだけれども先生の話、親の話を聞く力がない、じっとしていられない。これはまだ2年ぐらいですから、皆さんは知らないと思いますが、ADHDとLDと言うんです。要するに不登校も自閉症も落ちこぼれも学級崩壊も、こういう問題児を総称してアスペルガーシンドロームと言うんです。 オーストリアのアスペルガーという小児科の先生が書いたんです。この先生が一番最初に自閉症の論文を出しました。昭和十九年です。自閉症は昭和十九年ごろヨーロッパにありましたが日本にはなかったんです。ところが昭和三五年位から日本にも自閉症が現れました。私はその本を書きましたが、子供は幼児期が 一番大事なのです。赤ん坊の時に母親が母乳を飲ませないで牛乳飲ませたり、面倒を見ないと、赤ん坊と母親とのコミュニケーションができない。泣いてもオシメも変えてくれない、子守唄も歌ってくれない、そういう子供達がおかしくなって自閉症が起こるんだと世界中の何百人と言う学者が何百冊の本を書いてるんです。そんな中の何十冊か今日本語に訳されて本屋に並んでいます。これがアスペルガーシンドロームなんです。
それから学級崩壊ですね。ある学校の五年生の教室で、教師がよく聞けと怒鳴って読むんだけどね、読んでるのは先生だけで40人の生徒はみんな遊んでる。休み時間と一緒で一切授業にならない。でもそれは教師の指導不足ではないんです。子供は聞く耳がもともとないんですから、同じように福岡の筑前中学、イジメで殺したばかり、その後も同じ子供が、また他の子をイジメているんです、大騒ぎになったじゃないですか。聞く力がない、反省する力がないから事件は起こるのであって、もう方法がないんです。
今日ここにデータを持ってきたんですが、2年前の産経新聞に沖縄の警察が10月ごろ、正月から8月までの犯罪の人数を発表したんですよ、犯罪の人数がメインじゃなくてね。この沖縄の教育委員会が、中学校に警察官を派遣して警察官が授業しているというのが載ったんです。その取材記事には授業の中身が三つ載ってたんです、麻薬問題をどうするのかとかを警察官が授業してるんですが、それで私が直ぐ沖縄県警の担当官を出しなさい、と電話したんです。運良くその担当官が出てくれたので一週間ぐらい毎日話してました。とても大変なことですよ、向こうも目を回したと思うけど、あなたたちが授業してどういう効果があったのかと言う話をして書類をよこしなさいと言いましたが、秘密らしくてくれませんでした。
私がこんなにねばった理由は犯罪の数なんです。1月から8月までのことを詳しく担当官と話したんです。そうしたら18歳未満ですから中学一年とか六年とか加減はないというんです。それは18歳未満の犯罪全部の数でした。それでこんな小さい犯罪が載っているんです。警察にやっかいになった事件が全部載ってるんです。警察庁にいったて警視庁にいったってそんな犯罪載ってません。たまたま沖縄県警が初めて発表したんですよ、どんな小さい事件でも。そうするとね1月から8月までですから人数を2で割って3を掛けると12月までですよ、沖縄の人口は日本の人口の1%なんです、それを100倍すればいい訳ですね、300万なんですよ、全国で300万の未成年の子が警察にごやっかいになってる。1学年130万とすれば1千万ちょっとじゃないですか、すると300万と言ったら、約3.5人に1人は警察のごやっかいになってる訳ですよ
、それがデータから読み取れるのです。
その他に毎日新聞が夜中に徘徊している人数を、半年で50万何千人って発表したんです。これは警察のデータですよ。そうすると1年に100万じゃないですか、夜中にうろういている子供だけで100万いるんです。うろついているとしか載っていませんが犯罪じゃないから、それで不登校が何十万じゃないですか、不登校だってデータはとれないです。その30日以上とか、2週間以上とか色々なデータがあるんですが、その18歳未満には小・中学校生がいるわけです。要するに警察にごやっかいにならない子供は大変少ないんです。戦後61年の間にこういう世の中になってしまったんです。ですから今安倍さんが教育基本法を変えてみたって、道徳の教科書作って配ってみたって家庭に対する影響はゼロじゃないですか、地域社会に対する影響もゼロじゃないですか、安倍さんがどうしてマスコミに命令できるんですか、だから教育基本法が衆院を通過して11月に参議院通過して12月に教科書を造り始めても、殆ど効果はあらわれない、少し話を戻しましょう。
公園で遊んでるお母さん二人にインタビューするんです。何で給食費を払わないんですかって聞くんです。すると、だって義務教育でしょうというんです。 義務教育だから飯を食わすのは当たり前だと言うんです。仕方がないから集金に行くんですが一切払わないんです。中には高級外車に乗ってる人もいるんですよ、それでも給食費は払わないんです。それで給食を出せなくなった学校もあるんですね。これ親ですよイジメと同じじゃないですか、そういう親をどうして安倍さんが教育できますか、そういう親の親、じいちゃんばあちゃんが60代ですよ、だから教育基本法が変わったって道徳の基本の教科書ができたって、学校の先生が道徳の時間に皆さん親孝行しましょうと言ったところで家に帰ればそういう親がいる訳ですから、だからこの問題のまとめはそこをどうするかと言うところに持ってかないといけないんです。さっき皆さんいい事言ってましたよ
ね、日本の教育に関して話してました。
世界に認められた日本の修身教育
【亀田】教育と言う事に関してですが、今、戦後60年以上過ぎた中で日本は平和と言われる時代になりましたが、全て法律によって規制されているように感じるんです。例えばちょっとした傷害事件とか、夫婦間のことでもそれが犯罪に通じるとか、法律が悪いといっているのではないんですが色々な形で縛られている感じがします。然し、子供の躾教育にはある程度の体罰が必要じゃないかと私は思うんですが、そういう体罰と言うのも犯罪としてとらえられてる部分があるんです。確かに子供に対して必要以上の折檻は良くありませんが、ある面では躾をするにあたって口で教えても分からない時、子供にはそういう体罰は絶対に必要だと思います。先生はどのようにお考えですか。
品格ある日本人を育てた
小学国語読本
小池 松次先生/編【小池】体罰の話は私の本に載ってるんです。私が親と子の勉強大作戦を書いたらフランス大使館のポール・モネさんという人が、不思議の国日本という本を出したんです。私の書いた本の後で、不思議の国日本って広告が載ってたんで慌てて買いに行ったんです。それは、日本には修身があったのではないのか、そして日本は経済が発達している。ヨーロッパでは経済が発達している国ほど道徳心があると言うんです。衣食たりて道徳を知る、というのが日本語にもあるじゃないか、ヨーロッパにも上流階級には衣食足りて礼節を知る、上流階級ほど躾が良いと言うんですよ。ところが日本はフランスより経済が進んでいるから 日本に行ったらどんなに素晴らしい子供達がいるんだろうと思ってたら、とんでもない国だったと言うんです。電車に乗っても買物に行っても道路でも、こんな悪い子はフランスにいないと言うんです。一体全体日本はどうなってるんだと聞いたら、日本では体罰がいけないことになっているんじゃないか、と、ところがフランスは子供の躾は蓄犬、犬猫です。蓄犬と同じだと言うんです。子供が小さいとき、ある年齢までは言うことを聞かなきゃ飯は食わせない、言うことを聞かなきゃ引っ叩く、蓄犬の躾と同じだと、これがフランスの上流社会の躾だというんですね。日本は文明は進んでるし経済力はあるし、修身教育はあるし、何で日本はこんなに悪くなったのかという本なのです。これはね子供に気を付けしとけとか、立っとけとか、これは規律ですからさせなくてはいけないんです。
【塚田】それはいつ頃の本ですか。
【小池】フランス人の方の本ですか、二十何年前の本です。今も売ってますから捜してあげます。本社に行けばあると思います。
【亀田】先生、僕なんかが学校へ行って子供の頃男の子は喧嘩したり殴りあったりして、そういう中で自分も痛さを知って相手の痛さを知るみたいな感覚があったんです。そういうことからコミュニケーションが生まれるんじゃないかなと思うんですけど、それから昔は子供の喧嘩に親は口出すなって良く言ってたと思うんですけど、今何かあると直ぐ先生に言いつけたり、教育機関に言いつけたりとかして学校の問題として取り上げられてしまうし、子供のちょっとした 喧嘩なんかも下手したら傷害事件にまで発展することもありえるんですけれども、こういうことに関しては法律だけの問題ではなくて、別の対策方法が必要じゃないかなと思うんですけど。
【小池】学校ね、最近は父兄が教師をバカにして自分の子供の前で先生の悪口をいつも言ってますね。そして昔は先生の言うこと聞きなさいだったけれども、 今は子供が悪くて先生に怒られたとしても親に言うと、親は自分の子供を信用して先生のとこへ怒鳴りに行くとか父兄と先生の力関係が逆なんですね。これこそ安倍さんが教科書で道徳教育やったって父兄には通じないから効果がないということの大きな理由になりますよ。それから体罰と言うとおかしいから規律と言ったらいいですね。規律を教える、気を付けと言って、動くなとか、悪いことしたら怒鳴らなければいけないんですよ。子供が震え上がるぐらい。何でもかんでも子供の自由で、そして校長先生に命令する権限がない、おまけに教師は自由だといってるんだから、そんなことが通るわけないじゃないですか。それから学校の先生が親にバカにされているのはもうひとつあるんです。学歴が都会の場合は親の平均の学歴よりも、教師の学歴が低いんです。随分前ですけど、教師の社会的地位という本が出たんです。小中学校の先生のことですが、教師はお菓子屋さんとか靴屋さんよりか低いんです。教師の社会的地位が一番低いのは東大教授ですよ。学校の先生は聖職と言われていたじゃないですか、お坊さんも聖職だったけどね。然しね、日教組倫理綱領に教師は労働者であるとハッキリ書いてあるんです。労働者でしょう、労働者の教師を何で父兄が尊敬するんですか、ストライキやることが大きな目的だったんですよ、それが日教組じゃないですか、それで自分たちの言いたいこと言ってるからだんだん評判が悪くなって父兄にバカにされるようになったんです。だから父兄と学校の先生って言うのは敵対関係なんですよ。先生は誰も尊敬してくれないから学校の中でやるしかないですよね、そのうちに親はだんだん学校より家庭が大事だということになるんです、子供は家庭でできるんですから、ところが家庭だけでは中々できないんです。ですから私は隣組じゃないけれど部落や町や村全体でやる村祭が一番いいと思ってんです。それで家庭と村が仲良く助けあって子供が悪いことやってたら誰かが注意するんです。そういう事をやっていかないといけないですね。でもそれはかなり後の話しですよね。今亀田さんが言った体罰に変わるものとして規律を教えるという事はすぐできますよ、それとその前に杉山局長さんが言った事が一番基本なんです。それはマッカーサー占領軍がきて戦前の教育をどういう風に変えたとか、その変えた事はわかるけど、その底に占領軍の思惑がどこにあったかという事を今書かなくてはいけないんです。
杉山局長が戦後六〇年の歴史と、亀田さんが言った体罰でなくて規律ですね。
これは大切です。頑張ってください。
教育の原点へ立ち返るために
【大久保】先ほど先生がおっしゃったように六七才以下の人間は道徳教育を受けていないので、どうしても子供を根本からはずれた逆の方向に教育してしまうと言うようなお話がありましたが、私はそれを何とか修正する手段はないかと思うんですが、ここで言った村祭りもそうですし地域や家庭も協力して子供も修正する教育をしていかなければならないと思うんです。そういう中で今ある村祭りなんかはひとつの現実味のある事だと思うんですが、親も修身教育を殆ど受けていないとなると、どういう方法で修正していったらいいのかと思います。と言うのは、私の住む地域ではつい最近まで、各村に商店がありました。魚屋とかタバコ屋とか菓子屋等の商店があったんです。子供はそういう店で買い物をした時に有り難うといわなければ怒られました。また朝はそこの店の前を通った時に、おはようございます、と言わないと怒られました。帰りも、遅く帰ると周りの人に早く帰れとか、おかしな行為を行えば、おいダメだぜと注意されましたが、そのことでかなり道徳とかを教わったと思うんです。
それと教育基本法を変えるのは当然のことですが、修身も道徳も色々な方法を合わせながら修正していく方法があるのではないかと思いますが私たちの身近で早く対応できる事はないでしょうか。確かに六七年経った今の時代にそれをやることはかなり難しいと思いますがどうしてもやりたいんです。
先生何かうまい方法を教えてください。
【小池】家庭とか地域社会でできる事ですね。全部できるのが村祭、それから地域で出来るのは運動会。そしてその中にお父さんやお母さんの出番を沢山入れることですね。それから神社のお祭りも一年一回、運動会を中心にすれば全体でできますね。それが日曜日ならお父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちんも参加することができます。まずこれが一番早く直ぐできることと思います。
それから子供会ですね。村で言うと天満様とか何とか神社とか、お寺でもいいんですが、何か清掃活動ですね。清掃と言って嫌がる子がいたら美化活動とかに名前を変えればいいんです。それから駅前通りと学校の通路とかですね。そこに花を植えて一年中きれいに咲くようにするとか、もし近くにきれいな水があったら、そこにホタルを飼うとかですね。そういう事は村の自治会の人たちに世話役になって貰って子供会なんかが作るようにすれば直ぐできますよ。
そして日本中に子供会みたいなものを作って子供と親と地域社会が一緒になって楽しいイベントをやればいいですね。そこからコミュニケーションが生まれます。人と人とのコミュニケーションがないと何も直りません。学校だけではどうにもならんです。一番大事なことはそんな悪い事したらだめだとみんなが叱ってくれることがないとだめですね。地域社会の子供を中心にしたそういうコミュニケーションができればいくらでも味が出てくるじゃないですか。それができるととてもいいですよね。