土の良否を判断する五つの条件(家庭菜園)


平成14年1月17日
日本青年社 群馬県本部 須 賀 和 男


 よく葉や茎が黄色くなったり、枯死した野菜がありますが、葉を一枚とってくわしく見ると、病斑があったり、肥料の欠乏症状がでていたりすることが多いのです。薬剤散布や肥料成分の補給で簡単になおるかというと、そうはいかない例がたくさんあります。それは土に原因がある場合が多いからです。土がよければ症状は進行しませんし、肥料の効き目もよくて障害は現れません。ですから、野菜づくりを成功させる第一条件は、栽培に適したよい土をつくりあげることです。
☆どのような土が栽培に適するか
(1)水はけと通気がよいこと。
(2)水もち(保水力)がよいこと。
(3)土の酸度が適正であること。
(4)肥料分に富むこと。
(5)病原菌や害虫がいないこと。
これらの条件をすぺて満たしている土なら申し分ありません。

 野菜によって異なる粘土質と砂質の割合が問題です。土には粒子の大小があり、粒子の細かい粘土と、粒子のあらい砂の割合によって、性質がひじょうに違ってきます。砂の割合が多いと、粒子間のすきまが大きくなり、水はけも通気もよいのですが、保水カが小さく、肥料が流れやすくなります。この砂質の土を好む野菜としては、スイカ、メロン、サツマイモなどがあります。粘土質の土は、粒子間のすきまが小さいので保水力は大きいのですが、水はけと通気が悪くなります。タマネギ、キャベツ、カブ、ソラマメなどがこの粘土質を好みます。この砂質と粘土質をよい割合で含む土が、栽培にもっとも適した、いわゆる壌土です。粘土と砂の割合が同じでも、粒子が固まって団粒(だんりゅう)をなしている土は、団粒と団粒の間にすきまができて空気がはいるので、水はけがよく、保水力にも富みます。土を団粒化するためには、堆肥や腐葉土、ピートモス(良質の泥炭)のような有機質を人れ、有機質が土のなかで分解してでき、植物の生育にとって必要な腐植質(ふしょくしつ)をふやしてることが大切です。それによって細かい粒子が凝集し、土の団粒をつくりあげます。有機質は、土中の微生物の働きによってしだいになくなってしまいます。補給不足になると、拉子が密着した単粒構造にもどり、土質が悪くなりますから、年々補給します。砂質には粘上質を捕い、粘土質には砂を補い、有機質を加えて土を団粒化させることによって、栽培にもっとも適した土をつくりあげることができます。また、砂土の多い畑ば灌水(かんすい)や追肥を人念にし、粘土質の多い所では中耕を多くして水はけをよくするなど、土質に応じた管理も、畑土全体を改良することが困難な状況では必要になってきます。