日本の野菜(家庭菜園)

平成14年4月20日
日本青年社 群馬県本部 須 賀 和 男

 約1万年前に私たちの先祖が食べていた青物といえば、ワラビやゼンマイ、フキ、セリなど、今でいう山菜に限られていたようです。その後、ネギやヤマイモ、ミョウガがなどの栽培品が伝来し各種の野菜が伝わり、種類を増してきました。現在、我が国でつくられている野菜の種類は約130余種に及び、日常に食べているものだけでも30種以上あります。


 また、四季折々の気候変化に富むため、一つの種類でも、さまざまな時期に、多彩な育て方ができる点において、日本ほど野菜の豊富な国は他にありません。まさに、世界に冠たる「野菜王国」だといってよいでしょう。(ちなみに今は中国産にまけています)

  日本に定着した数多くの野菜を、その利用部分によって分類してみましょう。葉や茎を利用する葉菜、果実を利用する果菜、地下部を利用する根菜の三つに分けられます。

 しかし、同じ果菜といっても、強い光線を必要とするスイカやトマトと、弱い光線でもよく育つインゲン豆とでは、それぞれ性質も利用部分も異なります。葉菜でも、高温に弱いレタスと、暑さによく耐えるネギ、根菜でも、涼しい気候を好むダイコンと、高温性のサトイモとでは、ひじょうに異なった性質をもっています。野菜をその用途の面から大別してみると、煮て食べる野菜がもっとも多いのですが、漬けものにして保存するもの、特に日本独特のぬかみそ漬けや、こうじ漬けなどは、我々の日常生活にとって欠かせないものです。また生のまま食べる食習慣も、近年非常に多くなってきました。現在、日本人の需要がもっとも多いのは、キャベツやキュウリのように、用途の幅がひろい野菜です。

 つまり、煮て食べても生のまま食べてもよく、つけものにして保存もできる種類がもっとも多く利用されています。この点、食習慣の異なる欧米諸国とはやや趣が違っています。

 用途の幅の広い、いわゆる主要野菜を育てるのがいちばん実用的ですが、それが家庭菜園の野菜としてふさわしいかどうがは、別問題です。つまり、つくり方の難易や、身近な、比較的せまい場所で育てる意昧などを考えて、種類を選ぶことが必要なわけです。

家庭菜園向きの野菜をあげてみます。


使い道は狭いが小さな菜園で全部自給できる野菜

(1)パセリ、シソ、クレス、メネギ、サンショウなど
     店頭では鮮度の落ちたものしか得られない野菜

(2)トウモロコシ、ナス、インゲン、パセり、ホウレンソウ、シュンギク、など。
    容易に入手できないが育で方は割合簡単な野菜

(3)ホースラディッシュ、ア一チチョーク、フェンネル、タイムなど。


ナス

シュンギク

アーチチョーク

フェンネル

インゲン

シソ

下に に続く


育てる時期を選ぶこと

 

平成14年4月20日
日本青年社 群馬県本部 須 賀 和 男

 種類選びがうまくいっても、育てる時期を問違えては失敗です。種をいつまき、苗をいつ植えればよいのか、この時期の選定は野菜づくりを成功させる第一歩です。

 野菜を利用する面から考えると、収穫できる時期がいつかということも重要です。野菜づくりに慣れてくると、収穫期の幅をひろげることも考えなくてはなりませんが、まず、あまり手数をかけずに、楽に育てられる時期を選ぷことが大切です。一般に、春まきと秋まきの野菜が圧倒的に多く、真夏や真冬にまく種類はきわめて限られます。

 春まきは、気温がだんだん高くなり、光も強く、日も長くなっていく時期の野菜づくりになります。この時期の種まきの適期の幅はひろく、多少まき遅れても、以後の気象条件がよいので、加速度的に育ちます。秋まき野菜の種を夏のうちにまけぱ、苗が暑さ負けしてしまい、適期の幅がきわめて限られています。


 キャベツやホウレンソウなどは、品種改良によって、春、夏、秋と、ひじょうに幅ひろくまきつけられるようになりました。これらは品種をよく選んで、畑のローテーションによってうまく使い分けることが大切です。

  また、キュウリやトマトのように各種の資材を用いてまきどきの幅をひろげることができる種類もあります。これはむずかしい技術と資材が多く必要ですが、ホットキャップやマルチングフィルムなどのわずかの資材で、かなりまきどきの幅をひろげることはできます。

  保温用のプラスチックフィルムは、多方面にいろいろ利用できるものです。トンネルやビ二一ルハウス用には、塩ビフィルムがもっぱら使用されます。幅、厚さは各種ありますが、一般には、幅180センチ厚さ0.1〜0.075ミリのものが多く用いられます。

  また、塩ビフィルムのなかには、透明のものと梨地のものがあり、普適は透明のものが多用されます。しかし、いくら透明でも、水滴や土ぼこりが付着しやすいものでは意味がないので、その点を改良したフィルムが市販されるようになりました。

  ポリエチレンフィルムは、一見ビニールと区別がつきにくいのですが、ビニールに比べて、とくに高温下での変質が起こりやすく、保温力もやや劣ります。利点としては、価格がビニールの約4割がた安い。ペトつかない。片寄せたり、ひろげたりしやすい。焼却処理してもガス害がでない。

  以上のことから、暖地でのトンネル保温、ビニールハウス用の二重張り資材、テント栽培用資材、あるいはマルチング用にひろく使用されています。また、黒色のポリエチレンフィルムでマルチングすると、冬期作物の雑草発生を防ぐ効果が認められています。株元だけの小面積のマルチングや、小型のテント栽培用には、市販のゴミ回収用のポリ袋も十分活用できます。