ダム見学
日本青年社 群馬県本部 相談役 中里謙二 

五月三日(憲法記念日)、日本青年社群馬県本部は憲法改正の必要性と「自然と共生 環境と調和」を訴える定例啓蒙活動と建設中の八ッ場(やんば)ダム
(群馬県吾妻郡長野原町)工事現場の見学を行いました。
 八ッ場ダムは、昭和二十二年のカスリーン台風によって利根川の堤防が決壊したために下流域が大洪水に巻き込まれて甚大な被害を受けたことから、同二十
七年からダムの建設工事が始まりました。その後、地元での説明会などを経て鉄道や道路の付け替え工事が始まりました。しかし民主党政権の時に工事が一時
中断されたことから地元住民や工事関係者に大きな不信感を与えるという出来事がありましたが、現在は完工高七十%であり二年後には完成するとの説明を受
けました。
 ダムの形式は重力式コンクリートダムで提高一一六m、堤頂長二九〇・八m、総貯水要領一億七五〇万・という規模とのことでした。私たちは施行中のダム
を間近で見たのは初めてでしたのでとても感動しました。現場には三五〇tクレーンや七五〇tクレーンなどがありましたがすべてが大きいんです。そして索
道での運搬ではコンピューターを使うと十・位の誤差が出るそうですが、熟練技術者が操縦すると誤差は出ないという説明を受けたりしての本当に感動の連続
でした。
 ダムの施行は、リスト高一mのRCD工法でコンクリートを重ダンプで運搬し、敷均しはブルドーザーで二十五・の厚さで四回繰り返して一mの厚さにしま
す。次に振動ローラー(鉄輪)で締め固めます。このダムのコンクリートは型枠を使用していませんでした。打設後は二十四時間放水をしてレイタンスの除去
を行っているとのことでした。
 私たち素人の質問に丁寧に答えてくれた担当者の人たちには、感謝の気持ちでいっぱいでした。施行に当たっての問題点は、コンクリートの締め固めが振動
ローラーなのでウェービングによる平坦性の問題のスランプが0~3ということなので大型重機に取り付けたバイブレーダーによる締め固めのときのブリ―ジ
ングによる圧縮強度の「上弱下強」や全体的な低強度の問題を起こさないように、微密な管理を行っている話しなど、大変素晴らしい学びになりました。今、
原子力発電が大きな問題になっていますが、このように自然エネルギーによって発電や治水監理がしっかり行われていくことこそ、今に生きる私たちが未来の
人たちに残せる貴重な財産になるのではないでしょうか。
 政治によって一時施行が中断されたダムが、完成すれば多くの人たちの水源になるばかりでなく、生活になくてはならない電気を供給し続けてくれる貴重な
財産であることを改めて実感させられました。
 群馬県本部は、日本青年社が掲げる「自然と共生 環境と調和」のスローガンのもとに、これからも大自然の恵みの中で生かされていることへの、感謝の気
持ちを多くの人たちに訴え続けていくことを改めて心に誓い合いました。
【八ッ場ダム概要】 吾妻川は、その源を群馬・長野県境の鳥居峠に発し、浅間山・草津白根山の中間を東流して、万座川・熊川・白砂川等の支川を合わせ、
途中、吾妻峡と称される美観をつくりながら、さらに温川・四万川・名久田川等の支川を合わせ、渋川市付近で利根川と合流する一級河川です。流域面積は約
一三五六kmとなり、幹線流路延長は約七六kmにおよぶ、利根川水系の代表的な支川の一つです。
 八ッ場ダムは、群馬県吾妻郡長野原町(利根川水系吾妻川)において建設中の洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道及び工業用水の新たな確保並びに発
電を目的とする多目的ダムです。
 工期(完成予定年度)は平成三十一年度、建設に要する費用の概算額は約五三二〇億円を予定しています。
※国土交通省関東地方整備局 八ッ場ダム工事事務所エイHPより