公開抗議文


平成24年9月12日更新

内閣総理大臣
野 田 佳 彦 殿

平成24年8月20日
日本青年社

 

 わが国は現在、日ロ間の「北方領土問題」、日韓間の「竹島問題」、日中間の「尖閣諸島問題」を抱えている。この三つの領土は、わが国固有の領土でありながら、全てが戦後に起きた問題である。

 北方領土は、昭和20年8月15日の終戦から3日後の18日に旧ソ連軍が、南樺太と千島列島から軍事侵攻したことに始まる。殊に北方四島に関しては、千島列島に属する領土ではなく北海道を行政区とする島々であったが、旧ソ連軍によって8月18日から9月3日にかけて略奪されたまま不法占拠されている。


 竹島は、昭和27年1月18日に、韓国が一方的に李承晩ラインを線引きして奪い取ったまま現在まで不法占拠されている。


 尖閣諸島は、これら二件の問題と違い、昭和44年〜5年にかけて行われた国連海洋調査団の海底調査によって南西海域の海底に有望な石油資源が存在する可能性があるということが発表されたことに対して、中国が領有権を主張し始め、昭和53年4月には百数十隻の武装漁船団が、日本領海を侵犯して魚釣島を一週間にわたって包囲するという許されざる威嚇行動でわが国に圧力を掛け、その翌年に来日したケ小平副首相が記者会見で語った、いわゆる「棚上げ論」が、現在の領有権を巡る紛争を継続させているが、尖閣諸島は明治28年1月14日に国際法に基づいて日本に帰属した固有の領土である。これらの歴史については日本青年社HPでも公開しているが、現在に至るも一度たりとも他国の侵略を受けたり、他国の領土になったことはない。


 このような三つの領土に向けて、今年の7月3日にメドベージェフロシア連邦首相が国後島を訪問したことに続いて、8月10日に李明博韓国大統領が竹島を訪問した。更には8月15日に香港の民間団体による尖閣諸島魚釣島上陸という事件が起きたように、わが国の領土主権を巡る他国の主権侵害事件が続いている。


 然し、わが国政府は、従来通りの、事が起きるたびに「日本固有の領土」を言うが、そこには領土問題を解決しようとする気概も外交戦略も見ることができない。その証左は、いくら「日本固有の領土」と叫んでも、現実には、この海域で漁業を営む日本漁船が拿捕されたり、漁民が銃殺されるような事件が起きている事実があることだ。


 ましてや、この期に及んで韓国には「もう配慮しない」とか、中国の不法入国者には国内法で逮捕したと言いながら結局は、「英雄」として香港に送り帰すなど、その外交姿勢は全くもって理不尽であり異常極まりない限りである。


 我々は三つの領土が「日本固有の領土」であることは厳然とした事実であり、その思いは断じて譲るものではない。しかし、戦後半世紀以上にわたって政府が事あるごとに原則論ばかり唱えているが、その結果はどうなのか。我々日本人が北方領土や竹島に近づけばどうなるのか。その結果は言を待つまでもない。
政府は喫緊のうちに領土問題を解決するための確かなる外交戦略を構築せよ。


  政府の国防意識の欠如と領土意識の欠如からなる失態続きに対する国民の怒りと失望は計り知れないものであることはいうまでもない。この現実こそ正に戦後67年の長きにわたって日本の政治家が、選挙に当選するがための自己保身と既得権益を守ることしか考えず、本来守るべき国家国益・国民の生命と安全を守ることを蔑ろにしたまま、己の降りかかる火の粉を避けるように全ての難問題の解決を先送りにした「ことなかれ主義」を貫いてきたことの証左である。


  日本の民族派としてわが国の領土主権を死守すべく尖閣諸島実効支配活動に取り組んできた我々は、このような政治家のご都合主義に憤りを禁じえず、ここに声なき声の国民の怒りを代弁し、下記の通り政府に強く抗議申し上げる。

 





 我々は、昭和53年8月の日中平和友好条約調印から4ヶ月前の4月、中国の武装漁船団百数十隻が日本領海を侵犯し、尖閣諸島を取り込むという理不尽極まりない威嚇行動に対し、何の対応のできなかった時の政府の外交姿勢に危機感を抱き、同年8月に、尖閣諸島魚釣島に上陸し、自費で灯台を建設した日本青年社である。


 そして、この自国の領土実効支配活動は、2名の同志の尊い生命を犠牲者にしつつも、一度たりとも日本の灯を消すことなく27年にわたって日本領海である東シナ海の絶海の孤島に日本の灯を点し続けてきた。そのような折の平成16年に、政府から魚釣島の灯台を国が管理したいとの申し出を受け、翌17年2月9日、尖閣諸島魚釣島灯台を国家に無償委譲した。


 我々は、灯台が国有化されることによって、国は島内に実効支配を強化する有効な施設を建設するとか、気象観測所や漁船の緊急避難所、またヘリポートなどの施設の建設とこれらの施設の管理者が常駐して尖閣諸島を有人化することを切望していたが、灯台国家委譲から7年を経過した現在も、政府は、我々が灯台を建設して日本の領有権を死守した以外の新たな計画を検討した様子がなく未だに当時と同じ状況である。


 このように、常に北京政府を恐れるがごとき政府と外務官僚の軟弱な外交姿勢は、一昨年平成22年の、中国漁船が領海侵犯した上に海上保安庁の巡視船に体当たりをするというような中国の横暴を受けざるを得ないという、全くもって空しい状況まで作り出しているといっても決して過言ではない。
 

 上記の領海侵犯事件に際して、我々はわが国が海洋国家であるにも関わらず、国が領土の重要性を教えないばかりに、領土問題に希薄な国民を喚起することを目的に、尖閣諸島の行政区である石垣島から尖閣諸島に向けて出港する計画を立てた。そして、この計画は海上保安庁の理解と、地元漁協の協力と賛同を得て、同年(平成22年9月28日)石垣島から総勢200名で出港する準備を整えていた矢先、政府の圧力に寄って出港を断念せざるを得ない事態となった。この事実は「週間ポスト」がトップ記事で大きく報道したのである。


 然し、その後も中国の横暴は一向に収まることなく、何者が乗り込んでいるかわからないような不審漁船、抗議船、調査船、艦船などが、わが国への領海侵犯と威嚇行動を繰り返すという事態が続く中での本年8月15日、香港の民間団体が魚釣島に強行上陸するという事件が起きた。


 しかし、政府が不法侵入者に対して、海上保安庁に指示したのであろう対応策は、上陸阻止ではなく、上陸させて逮捕することであったようだ。それはこの領海侵犯と不法上陸も国内法で裁くということであったようだが、結局は国内法を適用することなく、翌日には強制送還してしまった。これこそ正に中国を慮かる軟弱外交であり、狡猾な中国は、日本への威嚇行動を益々強化することになるだろう。我々は、本来解決しなければならない領土問題をすべて先送りにするという「ことなかれ主義」に終始する日本の政治を座視することはできない。

 
 それだけはない。戦後日本の政治と教育は、主権国家において領土が如何に重要であるかと言うことを教えてこなかった。そして、尖閣諸島には、実効支配の象徴である日本国灯台があることすら国民に知らせることをしない。


  これでは我が日本は亡国の道を辿るしかない恐れまで考えざるを得なくなるだろう。
 

  これは何を意味するのか。我々が昭和53年に灯台を建設し、平成17年まで保守点検と実践的実効支配に取り組んできた以外、政府は日本の領土主権を守るための法整備も灯台保守点検以外の実効支配活動も何もしていないということだ。


  これこそ正に、政府も政治家も日本の領土主権を守るという意志も気概もないことの証左であり、その大なる責任は、国家国益を蔑ろにし、自己保身と既得権益を守ることしか頭にない政治家と公僕であるべきところの外務官僚の責任以外のなにものでもない。


  政府は、尖閣諸島を第二、第三の北方領土や竹島にしてはならない。そのために国民の信託を受けた政治家と公僕である官僚は、自分たちに課せられた責任と役割を自覚せよ。


  我々は国益を軽視する政府、政治家、官僚に断固抗議する。


  我々は自国の国益を蔑ろにして他国の国益を守る政府、政治家、官僚に断固抗議する。

 

 



 香港の活動家が領海侵犯して尖閣諸島魚釣島に不法上陸(平成24年8月15日)した事件に対する公開抗議文は野田総理以下、下記政党に提出しました。

記 

◯民主党 幹事長………………………………………………………輿 石 東
◯自由民主党 総裁……………………………………………………谷垣 禎一
◯公明党 代表…………………………………………………………山口那津男
◯国民新党 代表………………………………………………………自見庄三郎
◯社民党 党首…………………………………………………………福島 瑞穂
◯日本共産党 委員長…………………………………………………志位 和夫
◯国民の生活が第一 代表……………………………………………小沢 一郎
◯みんなの党 代表……………………………………………………渡辺 喜美
◯たちあがれ日本 代表………………………………………………平沼 赳夫
◯新党大地 真民主 代表……………………………………………鈴木 宗男