3月17日、午前9時30分。日本青年社訪ロ団は固い決意の下、成田空港に集結した。3月15日に行われた結団式によって、日本青年社全隊員の熱い拍手と期待を一身に背負い、それぞれが使命感を抱いて結集したのである。
訪ロ団は日本青年社を代表する31名の勇猛戦士であり、日本の国益の為に全員一丸となった、使命感にあふれる出発であった。
1、ロシア連邦議会下院を訪問
ロシアに入国して最初の訪問先はロシア連邦議会下院である。セキュリティ厳しく入館するだけで1時間以上もかかる徹底的なもので、同行した記者や案内人の方々はついに入場できないほどであった。
我々が通されたのは会議室で、中には既に数十名の若い指導者の方々が待っていて、直ちに挨拶が行われた。進行役はロシア科学アカデミーの日本担当教授が進め、通訳も行ってもらった。日本青年社がどのような団体であるか、その運動の軌跡と思想を説明し、今回の訪問の目的である両国の友好とその為には領土問題の解決が必要である事を訴えた。ロシア側の代表は、下院青年対策委員会、第一副委員長、ベロコニュフ・セルゲイ氏で30歳代の若々しい元気な方であった。氏は下院への入場に時間が掛かった事を最初に詫び、ロシアの人々がいかに日本と日本人を尊敬しているかを述べ、両国の友好の必要性を強調した。更に両国の間に平和条約が結ばれていない現状の打破を訴えた。
これに対し杉山は両国間に平和条約を結ぶ為にも領土問題の解決がぜひとも必要であり、ソ連邦という共産主義体制を脱してロシア連邦になった現在、両国の友好的発展は可能であり、成し遂げなければならないと答えた。学生も含んだ若者たちは遠い隣国との友好を訴え続け、その熱意はひしひしと伝わってきた。
日本青年社は『日本青年社の総意に基づく意見、要望』を読み上げ、日ロ友好推進協議会の設立を訴えて2時間に及ぶ意見交換を終わったのであった。初めての対談、それも集団と集団という形だったので、不安もあったが、直接、ロシア国民に我々の意思を伝えるという目的は見事に達成できたのであった。
※ロシア連邦下院は、日本でいえば衆議院にあたる。ロシア政治の中枢である。
ここで政府与党「統一ロシア」の見解を聞き、相手に日本青年社の意見・要望を主張できた事は非常に意義のある事であった。領土問題を平和条約の締結と絡めて問題にしたり、日本の企業進出を促したりするあたりは「現実的」な政治を感じ、非常に真剣であると思われる。彼らも自国の国益を考えて我々と向かい合っているのである。
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会談の席に着く日本青年社訪問団
向かって左から、日本青年社総本部総隊長・加藤順一、日本青年社総本部本部長・亀田晋司、日本青年社総本部事務局長・木村 正、日本青年社総本部情宣局長・大久保叡
プリマコフ元首相に「日本青年社の総意に基づく意見・要望」を手交する日本青年社総本部総隊長・加藤順一 (ロシア国政府の重鎮に要望書を手交するという大役を果たせて良かった)
プリマコフ元首相に「日本青年社の正義と決意文」を手交する日本青年社総本部本部長・亀田晋司 (決意文を手交したときのプリマコフ元首相の笑顔は一生の思い出になるだろう)
プリマコフ元首相に求められて握手を交わす日本青年社総本部国際局長・澤井和美 (握手をしてプリマコフ元首相の優しさを感じた)
意見交換終了後、プリマコフ元首相の希望による記念撮影
3、ロシア連邦外務省を訪問
次は最大の山場、外務省である。長い階段と長い廊下を歩き、アジア太平洋諸国局に到着した。余り広くはないが、我々の人数分の茶菓子が用意してあった。
程なくロシア連邦外務省、アジア太平洋諸国局局長のガルージン・ミハイル氏が現れた。外務省の局長だけあって日本語で挨拶を行った。我々日本青年社の事も良く知っている様であった。彼は北方領土問題の最高責任者であり、この間の日ロの交渉の現状を説明してくれた。麻生首相とのサハリン会談、小泉元首相とのモスクワ会談、藪中事務次官との戦略的会談、特に薮中氏との対談は我々と会う直前まで行われていたようだった。
『かつて「領土問題は存在せず」としていた時代もあったが、現在は前向きに対応している。皆さんの精力的な活動に対して敬意を表します。この問題は次世代に先送りすることなく、我々の世代で解決しましょう。しかし領土問題は国民的合意が必要ですので、もう少し時間をいただきたい』
この言葉を聴いて感動しないものがいるだろうか。ロシアの最高責任者が問題解決を断言したのである。又、日本青年社に対しては「かつての日本青年社でしたら、我々はビザも発行しないし、このように会談することも無かったでしょう。しかし現在の日本青年社はロシアを理解しようとしてくれている。良い友人となれるでしょう」と友好を示してくれた。
このガルージン氏との会談で、我々の訪ロの目的の大半は達成されたのであった。外交交渉は我々の目的ではない。それは政府、外務省が行えばいい。我々は行き詰っている現状を打破することが出来れば良いのである。
最後に、大統領、首相に対し、日本青年社の意見、要望書と拉致問題への協力要請を局長に託し、外務省を後にした。
※我々は外務省で誰に会うのか直前まで知らされていなかった。日本との領土交渉の担当局長が出てきてくれた事に我々は感激し、ありのままの交渉の実態を語ってくれた事にも感激した。勿論時々口ごもる様子から、言ってはならない事も多くある事も察する事ができた。そこでわかった事は麻生内閣は我々が思ってる以上に積極的な外交交渉を行っている事だった。我々民間レベルの訪問団が、両国に友好推進、領土問題の解決への道を拓く事が可能である事を強く実感させる会談であった。「政府が出来ない事をやる」のが日本青年社の歴史なのだ。
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ロシア連邦外務省での対談風景
ロシア国の意見を述べるロシア連邦外務省・アジア太平洋諸国局のガルージン・ミハイル局長
アジア太平洋諸国局のガルージン・ミハイル局長に、メド・ベージェーフ大統領及びプーチン首相宛の「日本青年社要望書」を託す日本青年社総本部総隊長・加藤順一、日本青年社総本部本部長・亀田晋司
ロシア政府高官と名刺交換する日本青年社総本部錬成塾長・広瀬守男