平成15年10月10日


 第五回目の「教養講座」は九月二十三日に前回同様東京練馬区内の区民会館に於いて開催された。

  鎌田泰弘「教養講座」実行委員会指導委員長より、前回の講座に於ける教育勅語の「朕惟フニ我ガ皇祖皇宗」から「我カ臣民克ク忠二」の範囲についてのおさらいとして、「我が国の成り立ちは“産む”という事であり、何らかの者が何らかの物を造り上げていくという天地創造とは違う。“産む”という事、そこには憎悪の感情がなく、ただあるのは愛である。ものを造るのではなく産むという事がいかに自然であるかは、産むという事は無作為であるという事。神話が科学的でないとの声もあるが、産む作業があって、時がくれば死んでしまうという事は生活の中にごく自然にある。日本人の特筆すべき文化の原点は空気や太陽や水などのすべてのものに生命観を見出し、共に歩んできたという共調観がある」と述べた。

 次に教材である「教育勅語絵巻物語」の他に「什(じゅう)の掟」と「山本五十六海軍大将述懐(遺書)」が紹介された。

  鎌田委員長は「什の掟の中で自分が特に印象に残っているのは『八、ならぬ事はならぬ事です』である。これを理解するために、命令と服従の徹底がある。命令をする側には必ずその責任が伴ってくる。それに対して服従するという事は、そこに自分の考えや先入観を持ってはならない。命令に対する服従の徹底というものは、一定以上の信頼関係がなければ成立しない。したがって命令を下す側が、自分のエゴや欲の満たすために下した事は私の言う命令と服従の徹底には該当しない」と話した。

  そして「山本五十六海軍大将述懐(遺書)」について「身を(まっと)うしてもしなければならない事があり、死を前提として、そこに美を求める感性というものが日本人の精神であり、この述懐にはそれがよく表れていると思う」と話した。

 そして、教育勅語の「克ク孝二」から「爾臣民父母二孝二」の範囲に触れ、約二時間の講座は終了。

  鎌田委員長から「大切な事は皆さん自身で考えて頂き、何が理解できないか疑問を提示してもらう事が今講座をより活性化するものだと思う」と話があった。