●世界に対し国際貢献の手本を示せ!
昨年十二月九日小泉内閣は自衛隊のイラク派遣を決定し、本年一月十六日陸上自衛隊の先遣隊が成田を出発し、我が国のイラク復興支援が本格化した。
小泉首相は「日本国の理念、国家としての意志が問われている。日本国民の精神が試されている」と、この派遣が日本国と日本国民の世界に対する試練である事を明言した。一国の総理が国民全体に対してこのように語りかけた以上、日本国民はその決意を支持し自衛隊の任務遂行を支援しなければならない。
●党利・党略を乗り越え、国家としての意志を持て
国家の命を受けて赴く者に対し国民全体の支援は必要不可欠なものである。にもかかわらず現実の国民意識は分裂状態である。政府与党である自民党の内部に於いてすら、派遣反対の声がある。
そんな赤子にもわかる事を国会で議論し、死傷者が出たら引き上げるべきだと真顔で言う議員もいる。私たち日本国民は今こそ日本の国の名誉と尊厳をかけてイラクに赴く自衛隊隊員に対し敬意と感謝を持って送り出さなくてはならない。そして欠陥だらけの特措法しか作れなかった自らを恥じなくてはならない。
かつて日本は義和団の乱に対し勇敢に闘い、暴漢によって全減させられようとしたヨーロッパ諸国の公使館員を救い出した。この壮挙によリ日本は西欧諸国から認められ、国家として確立した。
戦後六十年、経済大国として認められてはいても普通の国として認められず、常に侮辱され続けていた日本の再生への道が今拓かれたのだ。自衛隊の安全を守る為にも一刻も早い憲法改正を為し遂げなければならない。
●日本の現状は自衛隊イラク派遣に反対するわけにはいかない
イラク自衛隊派遣反対の声がある。その多くは改憲反対論者たちで、戦後民主主義の申し子ともいえるリベラリストである。もう一方の人々は政治と利権を常に頭の中に共存させている「現実主義者」たちで、万一の事態が発生(隊員の死など)した場合の不利益を考えた場合、野党に転落する危険を犯してまで強行する必要がないと考える人々である。
与党公明党は創価学会という支持母体からの直接的圧カを加えられ、ハムレット的苦悩を演じている。先の選挙で善戦した民主党も複雑な対応を見せている。小沢一郎を先頭とする、理論的には自民党右派に属する人々から旧社会党の流れを組む幅広い党である現実は政策面、特に安全保障の問題で同一歩調をとれるわけがない。支持者も「反自民」という立場はあったとしても政策面での統一性はない。しかし政権奪取を掲げる党として責任ある政策は必要で、いたずらに派遣反対を唱える訳にはいかない。故に「派遣に反対ではないが現状では反対せざるを得ない」という国民にはよくわからないものになってしまっている。
社民党、共産党の反対論はスッキリしているが故に国民の支持は得られず「派兵反対」の街頭デモも一握りの裸踊りにすぎず、味方のはずの各メディアもろくに取り上げる事はなかった。
イラク派遣は各党の思惑によることなく、「国家としての日本」が戦後六十年にして初めて踏ん張れるか否かの正念場を迎えたということである。
●憲法改正こそ喫緊の課題である
今回の自衛隊のイラク派遣はその意義の大きさに比べて余りにも貧弱な政府の対応と言わざるを得ない。石破長官の派遣命令も国会でイラク特措法が通過し小泉首相が臨時閣議で基本計画を決定して以来何日が経過したのだろうか。それも何も基本的には憲法が改正されない状況が生み出している結果である。
日本がイラクに自衛隊を送り出す事は危険だと言うことは、当然なことであるが、現在の世界情勢は単に危険地帯だからといって逃れることはできない情勢なのだ。そうした情勢だからイラク派遣を小泉内閣は自衛隊のイラク派遣を決定した。しかし日本は、今日のイラク派遣で、基本的に戦後のアメリカから押し付けられたとはいえ「平和と民主主義」を確実に守ってきた。しかしそれでは日本は国際世界で力を発揮する事ができないことも証明された。したがって、戦後を画する自衛隊の海外派兵を決めたのである。
その意味を深く日本国民は自覚しなくてはならない。そのためには、喫緊に憲法改正が不可欠なのである。その意味で、今回のイラク特措法には喫緊に憲法改正を行うという付帯決議をすべきだったのだ。
最後に私たちは今、時代が大きく変わっていることを再度自覚しなくてはならない。日本が「普通の国」になり、世界や国連で発言力を強めることは国益にかなっていることである。その意味で今回の自衛隊のイラク派兵は時代の節目であることを私たちに突き付けたのだ。